あこう絵マップコンクール2018
審査委員講評
(敬称略)  



♪まちを知るほど好きになる


審査委員長

兵庫県立こどもの館

館長
  横山佐和子

 ♪〜このまちのことをたくさん知ると このまちのことがたくさん好きに♪このまちの人をたくさん知ると このまちの人がたくさん好きになる♪今年も、このイメージソングの歌詞のように、子どもたちが自分で見つけた赤穂の宝物を素敵な“絵マップ”にしてくれました。
 ざっくり分類してみると…
■歴史・文化・教育…寺社、赤穂義士今昔比較、お祭り、将棋、学校、通学路、ベースボール等
■まちの魅力・名物…公園、生き物、たぬきさん、街並み、うまいもん、スウィーツ等
■暮らしと命を守る…上水道、消火栓、郵便、福祉、AED、とびだし君、ハザードマップ、避難場所、こども110番の家等…大型台風の直撃や地震が多発している中で、『暮らしと命を守る』ことに繋がるマップの多さが目立ちました。子どもたちも自然災害に危機感を募らせていることがうかがえます。
 また、将棋やオリンピックなど若い人が活躍する、旬の話題が入っているのも面白く感じました。
 特に、赤穂やわたしの地域が“好き”という言葉や気持ちがつまったマップが多く、子どもたちが既にこの“まち”や“人”を大切にする心を育んでいると感心しました。
 これも長年『マップ』というキーワードで、まちの絆を結び、まちを知ることで、子どもの心を豊かにしてこられたスタッフの縁の下の努力があってこそ!と敬意を表します。赤穂は人があたたかくて本当によいまちだと実感した一日でした。



オンリーワンのあこう絵マップコンクール


審査委員

国土地理院近畿地方測量部

次長 
千葉浩三

 赤穂市には初めて訪れましたが、作品を審査させていただくことで赤穂市の魅力を満喫することができました。また、スタッフの方々による「絵マップダンス」などの心温まるおもてなしにも、ほっこりできた1日となりました。
 作品は、赤穂の自然や歴史、町の様子を、ご自身の体験やご家族との関わりとの視点から描かれており、住んでいる町への愛着と家族の絆が滲み出ているものばかりでした。審査では、机上だけではなくて現地で調査したものを地図上に解りやすく表現されている点に着眼して評価しました。また、子どもたちによる作品説明発表は、地図づくりへの熱意や地域への思い入れが語られることで作品の潜在力を見いだすこともできました。
 順位とは関係なく心に残る作品がいくつも思い出され、全ての作品がオンリーワンであると感じました。今後も赤穂ならではのオンリーワンを育まれる事を願っております。



絵マップがつなぐ人と人の輪


審査委員

関西福祉大学教育学部児童教育学科

教授 中道美鶴

 『あこう絵マップコンクール』は、赤穂の街を愛する方々によって企画され、実施され、16回もの長きにわたって続けてこられました。その間にすばらしい絵マップが数多く生み出されたことでしょう。関係者の方々の意志と努力に敬意と感動を覚えます。
 子どもたちの絵マップ制作には、お父さん、お母さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんが力を貸し、調査、取材の際には市民の方々が協力され、また、このコンクールの卒業生がスタッフとして参加しておられました。絵マップコンクールを通して、子どもたちは、家族に愛され、地域の方々に支えられ、赤穂の街に守られていることを、身をもって感じたのではないでしょうか。そして、赤穂がますます好きになったのではないかと思います。
 この絵マップがつなぐ人と人の輪がますます広がり、続いていきますように、スタッフとして参加させていただいた学生共々願っております。



変わりゆく風景と変わらない情景


審査委員

大阪大学大学院工学研究科
建築・都市計画論領域


助教 下田元毅
 子どもたちの町を捉える感性と伝えたい熱量に感動した一日でした。マップのクオリティの高さは,事前にホームページを見て,ある程度想定していたつもりでしたが,生で拝見するマップの完成度の高さとプレゼンの臨場感は想定をはるかに超えた迫力でした。まちを捉える視点はもちろんのこと,特にマップを絵にしていく表現方法に私自身も多く学ぶところがありました。
 16年間継続してきたコンクールの間に赤穂の町並みは大きく変化したところもあるかと思います。子どもが描く赤穂の絵マップは目に見えるものだけでなく,目に見えない町の要素をしっかり捉えた共通点を感じました。人口減少や空き家の問題など,これからの16年も大きく町並みは変わっていくかもしれません。しかし,変わらない情景を描き出すことのできる地域潜在資源が赤穂には多く存在し,絵マップコンクールを通してヴィジアル化でき,子どもたちと故郷,子どもたちとこれからの世代と繋ぐ役割を担うコンクールが末長く続くことを祈念いたします。
 最後に,家族や親戚,近所のおじちゃんやおばちゃん,学校の先生など,マップの後ろ側に人の繋がりが見え隠れし,赤穂に住んでらっしゃる人とその繋がりが創り出す町並みと空気感が赤穂の一番の魅力であることを絵マップから教えていただきました。


ふるさと赤穂を愛する気持ちは「宝物」

審査委員

元赤穂幼稚園園長

田原ひとみ

どの作品も、自分が見つけた赤穂のことを伝えたいという熱い想いに溢れていて、感動しました。
 「どうなっているのかな」という好奇心・「知りたい」という探究心・「調べてみよう」という行動力・そして、プレゼンテーションで自分の思いを「発表する」という表現力は、まさに、「生きていく力」につながっていく大切な力です。これからも、この力を持ち続けてほしいと思います。
 また、家族と一緒に現地に出かけて調べたことは、大きくなり赤穂を離れることがあっても、ずっと忘れない記憶として残り、ふるさと赤穂を愛する気持ちは、「宝物」として残っていくことと思います。

 審査をさせていただいた私は、知らなかった赤穂について、いろいろなことを教えてもらい、大好きな赤穂がますます好きになりました。
 53もの作品に出会わせていただき感謝しています。これからも、このコンクールが長く続いていかれますことを願っています。



「絵マップ」から感じる人との繋がり



審査委員

あこう絵マップコンクール実行委員会

委員 
井関亮平

今年度、初めて審査委員を仰せつかり、今までの運営側とは違う目線で「あこう絵マップコンクール」を見る機会を頂きました。もちろん、今までも参加してくれる子ども達の作品に対する熱意やアイデアなどを感じながら接していましたが、いざプレゼンテーションを受ける側となると、より一層の想いや発想力を感じ、また、今までは見えてこなかった魅力を感じることが出来ました。その魅力とは、絵マップの周りには多くの人々の存在があるという事です。作品を作る子どもは勿論、協力をするご家族や友人、絵マップで想いを伝えたい人達など、作品から感じることの出来る人と人との繋がりは、家族や地域とのコミュニティをより深くしてくれるものだと実感しました。
 今後も、「あこう絵マップコンクール」に応募してくれる作品の素晴らしさや魅力を、多くの人たちに発信し、コミュニティ深化のお手伝いをしていけるように、実行委員の一人として励んでいきたいと思います。

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