あこう夏休み子ども絵マップコンクール2003
審査講評
米谷朝五郎 委員長  (赤穂市文化協会会長)
 このたびは西播磨地域づくり女性会議の皆様の大変なお世話によって、赤穂市内でははじめての「あこう夏休み子ども絵マップコンクール2003」が開催されました。
 会場となりました関西福祉大学コミュニティホールには、市内幼稚園、小学校の児童から出品された絵マップ55点が並べられ、子どもたち、父兄、関係者が見守る中で和やかな絵マップコンクール公開審査会が開かれました。
 5人の審査委員はそれぞれが10票のシールを持ち、子どもたちの作品内容や作品づくりの説明を聞いた後、良い作品と思われるものにシールをはっていきました。
 審査は「まち」に対する子どもらしい視点や発想の面白さ、作品づくりについての創意や工夫、熱意や苦労などを総合的に判断するとともに、「家族などの応援も可」となっていることも考えあわせて審査をいたしました。
 どの作品にも「わたしたちのすむ町」を主題としたものが多く、その中でも「わたしの大すきなところ、公園、家のまわり、町の目じるし、町の今と昔」など大変バラエティに富んだ内容の作品が目につきました。 
 特賞に選ばれた作品の中には、すきなところをふかん図や絵や写真、説明カードを使った工夫が見られ、またクラスの友達が調査の打ち合わせ、表示の方法をよく話し合って制作にあたったと思われる作品、町の今と昔などでは透明ビニールを重ねて見やすくした作品、また家や店、橋、いろいろな目じるしを切り貼りするなど手作りの温かさを感じる作品が見られて、大変楽しいコンクールとなりました。
 これからもこのような「こどもたちがからだを通して学習する体験活動」を進めてくださるよう願ってやみません。
長崎 卓 委員  (赤穂市助役)
 私にとって初めての絵マップ公開審査は、子供たちのキラキラした目に囲まれて、楽しくも実にドキドキした3時間半でした。
 会場にずらりと並べられた作品は、審査テーブルからはみ出しそうな大きな作品、コロッケや道路標識にこだわって調べた作品、双六や磁石を使った遊べる作品、2枚重ねで昔と今を対比した作品など、子どもたちの創造力あふれるものがたくさんありました。
 そうした中で最優秀に選ばれた2作品は、その着眼点においても表現においても、これが赤穂で最初のコンクールとは思えないほどレベルの高い作品でした。また、私が審査員特別賞に選んだ作品は、道路には砂を貼り付け、建物は一つひとつ丁寧にコルクを型抜きしたもので、持ち上げるとずっしり重く、つくった子供の想いが伝わって来るようでした。
 何はともあれ百聞は一見にしかず、今回集まった絵マップを、一人でも多くの赤穂の皆さんに見ていただければと思います。
廣瀬 充 委員 (赤穂市教育委員長)
 私は絵マップの展示室に一歩入って、素晴らしい多くの力作を目にして感動してしまいました。そこで、その時の感動を思い出して3点にしぼって申し上げたいと思います。
 先ず第一に感動したことは、出品された皆さんは素晴らしい夏休みを過ごされただろうと思うことです。長期の休みでなければできないことに挑戦されたこと。また、家族の方が子どもの目線で支援され親子の絆をしっかり結ぶことができただろうと思うからです。
 次に第二に感動したことは、昨今、生活科や総合学習が重視されていますが、これは、「自分で課題を持ち」「自分で課題解決の方法を考え」そして「自分で解決する。作業をする」ことです。真に、このマップ作りは総合学習の実践そのものですし、学校を離れた所で実践されたことにも値打ちがあります。このようにアイデアに満ちた大作に取り組み仕上げるには、大変な忍耐と努力が必要で、この熱意が達成感をもたらせてくれたのだろうと思います。
 最後に第三の感動は、地域をこれだけ表現しようと思うと、普段何気なく見ていたことを、しっかり見なおして何回も足で歩き、目で確かめ、気づきをしっかり心に止めて熟知しなければできません。相手をしっかりと知ることで尊敬や愛情が育つのと同じです。自分の住んでいる所をよく知ることで「ふる里大好き」「赤穂大好き」になったのだと思います。大好きだから、こんなに素晴らしい絵マップができたのだと思います。
 そこで、私からのお願いですが、次回もきっと挑戦して、この赤穂がこのようになったらいいなあと思うこと等を取り入れ、みんなの町、赤穂の未来を考える素が育ってくれたらいいなあと思います。
 私も皆さんのマップを見てから、自分の足で歩いてまだ出会えていない所を探索してみたいと思うようになりました。そんな気持ちにしてくれたマップでした。ありがとうございました。
溝端 剛 委員 (関西福祉大学附属地域センター長)
 まず、初めてのコンクールに、赤穂市のほぼ全域から、幼稚園児から小学6年生に至るまでの合計55点もの力作が寄せられたことに感動しました。
 しかもその子供たちの視点は実にさまざまでした。そのなかでも、海や川には魚が泳ぎ、山にはいのししやきつねがいる赤穂を自慢している作品や、人と人のつながりをテーマに赤穂の地域を描いた作品が印象に残っています。
 このような子供たちの郷土を思う純粋な心を私たち大人がどのようにして育てていくのか、またその心を育む環境・地域をどうやってつくっていくのかという課題を、子供たちから突きつけられた一日でした。
 最後に、このコンクールを今年度だけで終わりにさせてはいけないという強い思いを抱きながら、審査会場を後にしました。
山本 幸子 委員 ((社)岡山県建築士会常務理事)
 絵マップは普通の絵を描くのではなく、子どもたちが外に出て町を探検し、宝捜しをする─町探検─が特徴です。新しい発見、感動を人に伝えるために様々な方法で表現。それが絵マップとなります。町を観察することで普段気づかない多くのことが見出せるはずです。大人も一緒に見歩きし話し合う。お年寄りの言葉に耳を貸しあるいは知らないことを調べることによって、子どもの好奇心はますます深まり町に関わる楽しさを実感できるのです。
 公開審査会では子どもたちにプレゼンテーションをして欲しかったのですが、初めての公開審査会であり時間的な制約等もあって作品の説明を読むに留まりました。少し残念。感動をどう人に伝えるか、どう説明したらより理解してもらえるかと子どもなりに一生懸命考えて発表してくれるのでそれがまたとても楽しいのです。プレゼンによって審査員のシールが大移動することもありハラハラドキドキのスリリングな一コマになったりします。人前で町を見た感動や想いを伝える、発表するよい教育の場でもあるのです。
 応募作品を振り返ってみると、55作品の力作ぞろい。会場に入るなり「わっ」と圧倒されるほどのエネルギーを感じました。「私を見て!」一斉に熱い視線を注がれて部屋に入るのをためらったほどでした。どれにもシールを貼ってあげたい作品ばかりです。一軒一軒歩いて調べたのでしょう。きめ細かな調査の後が十分うかがえます。びっくりするような小さな工夫が施されていたり、過去と現在を重ねての街づくり、夢の遊園地等どれも心温まる提案でした。
 今回だけでなく、これからも「あこう」の町を楽しく探検してください。そしてもっともっと「あこう」の町を好きになって欲しいと思います。

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